仏事Q&A

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「清めの塩」とは、何ですか?

 

火葬場から帰ってきた人や弔問に行った人が、家に入る前に塩や水で身を清めるという風習がありますが、これを「清めの塩」「清めの水」といいます。

火葬場から帰ってきたときは、喪家の家族ではない人に、一人一人柄杓で手に水をかけてもらい清めます。さらに、塩を胸の辺りや背中にふりかけてもらい、死の汚れ、不浄を清めます。水と塩の順序は逆でもさしつかえありません。

近年では、略式の小さな袋に入った清めの塩を告別式に参列した人に、会葬御礼の挨拶状とともに配られるのが一般的です。

 

 

塩は生存維持には必要不可欠の物資であり、しかもこれにかわる物質はほかにありません。また、食物やミイラの腐敗を防ぎ、その状態を永続させるという性質を持ちます。そのため古くからどこの国でも塩は清浄の象徴であり、呪術的、宗教的な意味も持たれました。

 

『旧約聖書』においても、神と人間、人間と人間の間の塩の結合が両者の誓いの不変を意味し、そこから塩の契約の考えが生まれました。ギリシャでも、この塩の誓いを破ることは不実とされていました。

日本でも塩を粗末にすると目がつぶれるなどと言われたように、昔から塩は貴重かつ神聖なものだったのです。夜間は特に塩という言葉を忌み、売買もしない習慣があったほどです。

葬儀の際の清めの塩のほか、料理店や寄席などでは毎朝店の掃除をしてから、縁起を担いて入り口に盛り塩をする習わしがあります。