- 石屋のないしょ話
節分
年が明けたと思ったら早いものでもう節分です。 節分の豆まきの時に大きな声で「鬼は外、福は内」というのは皆さんもご存知のとおりですが、京都の商家では「福は内、鬼は内」というのはご存知でしょうか? 今月は節分についてお話します。
「福は内、鬼は内」この「オニは内」のオニとは大荷と書き、大きい荷物を意味しています。 大荷を遠ざけていては商売が成り立ちません。 大荷は内に入ってこそ商売繁盛となり、それが商うための第一歩だと考え「大荷は内」と言うのです。 いわば一種のこじつけですが、こんな些細な言葉な中にも商売人の切なる願いが込められているのです。 京都の商家にはこんな言い伝えがたくさんありますが、その一つをお話します。 節分のこの時に二升五合の豆を煎るとか、一升枡二個に五合の豆を準備し神棚にお供えするといったことがあります。 これはいずれも「ますます、はんじよう(枡々半升=益々繁盛)」という意味になります。 そしてその豆を神棚から下ろして自分の数え歳より一つ多くの豆を食べ、それと同じ数の豆を半紙に包みます。 それから豆まきが始まるのですが、一ヶ所でまくのではなく、家中歩き回ってその場を清め、この一年のご加護と無病息災を祈るのです。 豆まきが終わると、先ほど半紙に包んでおいた豆を家族みんなで近くのお地蔵さままでお供えに行き手を合わせるのです。
もともと豆をまくのは魔の目(豆)が悪いものを退治するためだと言われていますが、宮中では豆をまかれず桃の実を投げられたそうです。 桃の実は伊弉諾命いざなぎのみことが黄泉の国で追っ手を追い払うために桃の実を投げて難を逃れたという神話に由来し、古来より邪気を払い、かつ不老長寿の薬とも考えられてきたのです。 京都では、豆まきだけでなく、聞鼻かぐばなという鬼を退散させるため、鰯の頭を柊の枝にさして門口にかかげたり、節分の夜に鰯を食べる風習もあります。
石屋のないしょ話でした・・・。