- 石屋のないしょ話
節分のおばけ
年が明けたと思ったら、早いものでもう二月です。 二月と言えば節分です。 今月は『節分のおばけ』についてお話します。
今では殆んど見られませんが、ひと昔前の京都では、節分の日に女性が男性に扮したり、お年寄りが若い女性の格好をしたりして、お宮様にお詣りするという風習がありました。 色々な格好に「化ける」ということから、この風習を「節分のおばけ」と言ったのです。
昔は節分の日に神社にお詣りすると、境内は「おばけ」だらけだったそうです。 「おばけ」になるということは、悪い鬼を化かす為のカムフラージュであったり、自分と違う格好をすることによる厄除けの為であったり、お年寄りが若い格好をする場合は若返りの為であったり、子供が年頃の女性の格好をする場合はして良縁を願う為など、それぞれ意味があったのです。
これは仏事や神事に関係なく、民衆の風俗として広まり、昭和四十年頃までは盛んに行われていました。 「笑う門には)福来る」の諺がこの風習より先にあったはどうかは分かりませんが、色々な格好に化けた姿を見て笑い、その「笑い」で悪いものを追い払うという意味があったのではないでしょうか?
余談ですが節分の日にその年の恵方(今年は東北東)に向かって巻寿司をまるかぶりすると、その年に幸福が訪れるという風習がありますが、巻寿司には「福を巻き込む」という意味が込められていて、包丁を入れると「縁が切れる」という縁起かつぎから、まるごと一本を無言で食べなければいけないと言われているのです。
石屋のないしょ話でした・・・。