仏事Q&A

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誘引開導(ゆういんかいどう)とは、どういう意味ですか?

最後通告をする時などに「引導を渡す」といいます。この「引導」とは、そもそもお葬式で僧侶が死者に死を告げ、あの世に導くという意味です。これは「増壱阿含経」に説かれている話が元になったとされています。

 

お釈迦さまが大愛道比丘という弟子が亡くなったとき、人生無常と涅槃常住を説きました。この逸話が元になって、死者に対し諸行無常・涅槃寂静を説く習慣ができ、葬式へと発展していったのだそうです。これが、後々死者へ引導を渡すという言葉となったのです。

 

引導には、もう一つ意味があります。それは、法華経に説く「誘引開導」という言葉です。引導は「誘引開導」の省略です。その意味は「人々を導いて仏陀の教えに引き入れること、正しい方向へと導くこと」です。こちらが本来の引導の意味になります。

 

人々を正しい方向へ導くことは、大変難しいことです。人々だけではありません。学校では先生が生徒を、会社では役員が経営を、家庭では親が子を、正しい方向へ導かねばなりません。しかし、必ずしもそれが成功するとは限らないのです。

 

正しい方向へ導けるかどうかは導く者の力量にかかっています。導く者の能力によっては、方向を見失ったり誤ったりもします。導く者は責任重大です。己が人を導くに相応しいものかどうか、現在の導きが正しいのかどうか、時折省みるのも大切なことでしょう。もし、方向性に疑問があるのなら、勇気を持って変更しましょう。それが引導する者の責任なのです。