仏事Q&A

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「無貪著むとんじゃく」って、どういう意味ですか?

何事も気にしない、周囲に気配りができない人のことを「無頓着な人間」といいます。 「無頓着だね」といわれれば、決して褒められているのではありません。 ところが、本来は褒め言葉だったのです。 そもそも「無頓着むとんちゃく」は「無貪著むとんじゃく」と書きました。 読み方も異なっています。 意味は「貪著しない」ことです。

「貪著」とは「貪り求めること。 貪りに執着すること」です。 したがって「無貪著」は「貪り求める心がない、執着心がないこと」です。 それは修行者にとってはもちろんのこと、一般の人々にとっても理想の姿でしょう。 無貪著になることができたならば、それは悟りの境地でもあります。

しかし、平安の世の頃には、すでに「頓着」という文字になり、意味も「深く心に気にかける」という良い意味での執着心にすり替わってしまいました。 確かに、気配りをすることは一種の執着心でもあります。 無頓着な人は、ひょっとしたら悟りに近いのかもしれません。 執着心が少ないといってもいいかもしれません。 ですから、無頓着な人に出会っても、それは責めることではなく、感心したほうがいいのでしょう。 また、「無頓着だね」と言われても気にしない方がいいのでしょう。 無頓着な人は、執着心が少ない人なのです。

ご参考までに・・・。