仏事Q&A

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仏教には、なぜ多くの宗派があるのですか?

仏教は、およそ二千五百年前にお釈迦様の教えに基づいて成立した宗教です。 もともとの教えは、お釈迦様が一人で説いたものです。 お釈迦様が生きていた頃、すでに多くの信者が集まって、その教えに従って修行する僧侶もいました。 初めは、お釈迦様のもとに集まった信者は一つにまとまっていて、派閥はありませんでした。 ところが、お釈迦様が亡くなってしばらくすると、お釈迦様の教えについての解釈の違いから教団が分裂しだしたのです。 これが、宗派の始まりです。 仏滅後、百年頃から次第に分裂が顕著になり、西暦紀元前後には二十派ほどに分かれていたことが知られています。

紀元一世紀の中頃に中国に仏教が伝わると、多くの宗派が成立しました。 そして、唐代(七世紀)頃までには成実宗・律宗・華厳宗・天台宗・禅宗・浄土教(阿弥陀如来の極楽浄土に往生することを願う仏教の一派)などの宗派が成立し、奈良時代に日本に伝えられました。 

したがって、日本の宗派のルーツは中国にあり、それを日本の高僧たちが日本的にアレンジしたものなのです。 とくに平安時代以降は、日本独自の体系を作りあげていったものが多く、鎌倉時代になると浄土宗や浄土真宗や日蓮宗のように、日本のオリジナルといってもよい宗派が成立しました。 お釈迦様の教えは一つなのに、なぜこのように多くの宗派が成立したのでしょうか? 一つは、お釈迦様の教えは八万四千の法門(教え)といわれるほど多く、しかもそれが方便(相手に分かりやすいように時と場合に応じて説くこと)をもって説かれているからです。 したがって同じことを説いても、その解釈によって違いが生じてくるのです。 そうした解釈の違いが、様々な宗派を生み出したといえるでしょう。 さらに、後世の仏教徒は膨大なお釈迦様の教えの中から、自分が最も正しいと思うものを選び取りました。 例えば、日蓮上人は『法華経』だけを最高の教えとし、法然上人は念仏によってのみ救われると考えたのです。 その結果、多くの宗派が生まれ、その教えに共感した人たちがそれぞれの信仰集団を作りあげたのです。  

ちなみに、「宗」は真言宗とか浄土真宗といった大きな集団を指します。 「派」は「宗」がさらに分派を形成したもので、真言宗豊山派・浄土真宗本願寺派や大谷派などがこれにあたります。 ただ、一般にはこれらを一まとめにして「宗派」といっています。 日本の宗派は一口に「十三宗五十六派」といわれました。 華厳宗・法相宗・律宗(以上、奈良時代)・天台宗・真言宗・融通念仏宗(以上、平安時代)・浄土宗・浄土真宗・時宗・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗(以上、鎌倉時代)・黄檗宗(江戸時代)が十三宗です。 教義の解釈の違いなどから、細かい流派に分かれ、戦後に宗教法人ができると、多くの分派が独立し、現在では約百六十派あるといわれています。

ご参考までに・・・。