- 仏事Q&A
火伏せの守護神とは何ですか?
東大寺大仏殿の屋根の両端には、長靴を逆にしたような飾りがついています。 これは鴟尾しびと呼ばれ、魚の尾をデザインしたものです。 日本の寺院建築は木造が主流で、火気に弱い。 消火設備が未発達の時代、ひとたび火事になれば、ほぼ全焼は免れない。 そこで古人は、火事を防ぐために様々な工夫をし、祈りを込めたのです。 その一つが
鴟尾しび
です。 水中を自由に泳ぎまわる魚は水を自在に操って、火を消すことができると考えたのです。 つまり鴟尾しびは火伏せの守護神だったのです。
ちなみに、天井に描かれた竜にも防火の願いが込められています。 もともと竜は「竜神」で、雨を司る神です。 この神を天井に描いて、火がでたら雨を降らして消してくれることを願ったのです。
平安時代になると鴟尾しびは姿を消し、鬼瓦が取り入れられました。 こちらは火伏せだけではなく、寺院に降りかかるあらゆる災難を避けるためのものです。 さらに、後世には、名古屋城の「金のシャチホコ」でおなじみの鯱が登場します。 しかし、これは寺院には用いられず、もっぱら城郭の屋根を飾りました。
ご参考までに・・・。