仏事Q&A

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「山門」と「三門」の相違点とは何ですか?

法隆寺や東大寺など、飛鳥・奈良時代に建立された初期の寺院は、都の平坦地に建てられました。 これが、平安時代になると、比叡山や高野山などの山岳地帯に寺院が建てられてるようになりました。 それにともなって、寺院に「○○山」という山号がつけられ、寺院の門も「山門」と呼ばれるようになったのです。 そして時代が下がると、平地に建てられた寺院にも山号がつけられ、その門も山門と呼ばれるようになりました。 

また、禅宗寺院などでは「山門」の字を使わず、「三門」と書く場合もあります。 これは、「三解脱門」の略で、迷いから解放されるための三つの道を門に例えたもので、やはり寺院の正門を指します。 三つの道とは空・無相・無願で、どれも物事にとらわれないことを意味します。 そこから三門は五間三戸(柱の間が五つで、入り口が三つ)に造るのが基本ですが、実際には三間一戸のものもあります。

このように「山門」と「三門」はどちらも寺院の正門を表わしますが、前者が門のある場所を表わすのに対し、後者は仏教の教えを象徴する名前です。 例えば、知恩院や東福寺の三門は、常に入り口を開放してあり、三つの解脱の道にいつでも自由に入っていくことができることを表わしています。 また、三門の両側には築地塀などがありません。 これは、三門が大門や総門のごとく、みだりに部外者が入らないようにする防犯上の門ではなく、仏教の教理を表わす象徴的な門であることを示しています。 

いずれにしても、重層(二階建)の堂々たる門を「三門」、こぢんまりとした門を「山門」と書くのは、それぞれにふさわしいと思います。

ご参考までに・・・。