- 仏事Q&A
境内に見られる仏教ゆかりの樹木って何ですか?
蓮の花は、仏教を象徴する花としてよく知られていますが、蓮の他にも寺院の境内には仏教ゆかりの植物がいくつか見られます。 その代表が菩提樹と沙羅で、この二つを植えているお寺も少なくありません。
まず、菩提樹はお釈迦様が三十五歳の時にこの木の下で悟りを開いたことから、その名があります。 菩提はサンスクリット語のボーディを音写したもので、「悟り」の意味です。 ただし、日本のお寺で見られるのは、インドの菩提樹とは異なり、中国原産のシナノキ科の樹木です。
沙羅の木は、お釈迦様がこの木の下で入滅(亡くなること)されたことから、仏教で珍重されます。 インドではシャールと呼ばれる二十メートル以上に成長する樹木で、各地でよく見られます。 日本の沙羅の木はナツツバキというツバキ科の樹木で、シャールとは異なります。 しかし、仏典にはお釈迦様が入滅された時に、木々が季節はずれの花を満開にしたと説かれています。 そして、ナツツバキが真夏の花の少ない季節に花を咲かせることから、沙羅になぞらえたものと思われます。 また、沙羅は「沙羅双樹」ともいわれます。 双樹は二又の意味で、これも経典に、お釈迦様が二又の沙羅の木の間に寝台をしつらえて横になり、最期を迎えたといわれていることから、双樹といわれるのです。
また、マンジュシャゲは、もともと天界に咲くといわれる架空の花です。 日本では秋のお彼岸頃に咲くことから、ヒガンバナの名で親しまれています。 さらに、仏事などでよく用いられるシキミという常緑樹がありますが、これは葉の形が蓮の花の花弁に似ているため、仏教で珍重され、芳香を含む葉はお香の原料にもなります。 また、この香りをオオカミが嫌うので、土葬の時代にオオカミが遺体を掘り起こしたりしないよう墓地に植えられたという説もあります。
ご参考までに・・・。