仏事Q&A

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なぜ「精進落とし」というのですか?

お葬式が終わった後、参列して下さった方々にご供養することを「精進落とし」といいます。 最近では、通夜・葬儀のご供養のときにでも、肉や刺身などを出している例をよく見かけるようになりましたが、以前は魚や肉類なだ一切の生臭物を嫌って、すべて野菜類をもって料理した「精進料理」でした。 これは、亡くなられた方のためにそれ以上の殺生の戒を犯させないようにしようという心配りから行われていたものです。

生臭物を食べないというこの忌中の生活から、生臭物を食べて日常の生活にもどるための食事を「精進おとし」「精進上げ」といいます。 したがって、忌に服していた生活から元の日常生活にもどす区切りの大事な意味をもっているものなのですが、最近は初めから生臭物を食べてしまっているので、「精進落とし」の意味も薄れてきてしまいました。

一つのけじめであった「精進落とし」が、単なる普通の会食と同じになってしまったことによって、何か一つの大きなものをなくしているように感じられます。 昔は葬儀のときばかりでなく、ご先祖のご命日の日には生臭物を口にしないようにと心掛けて精進料理で過ごしていました。 この「思いやる心」が大事なことで、子供のころから自然と日常生活の中で培われていったものでした。

ご参考までに・・・。