石屋のないしょ話

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千日回峰行

先日、千日回峰行に挑んでいらっしゃる釜堀住職が堂入りを達成されました。 テレビなどでご覧になった方も多いと思います。 今月は千日回峰行についてお話します。
死への旅立ちとして、白浄衣のいでたちで挑む比叡山千日回峰行。 この世にこれ以上、過酷な修行はないといわれています。 実際、五年目で迎える堂入りは生きたままの葬式といわれ、九日間の断食・断水・不眠・不臥は、医学的には不可能とされています。 しかし、不可能といわれても、実際に行を完遂される大阿闍梨だいあじゃりさんが戦後だけでも13人もおられるのだから、医学的根拠も用をなしません。 

千日回峰行とは、七年間に千日をかけて四万キロ、ちょうど地球一周の距離を歩きます。 最初の三年間は、一年間に百日ずつ、比叡の山上山下三十キロを拝して歩きます。 午前一時に出峰して、東塔ー西塔ー横川ー日吉大社ー無動谷まで、闇の中を三十キロ。 この三年間で三百日を終了します。
 
四・五年目は、同様の行を一年間に二百日ずつ歩きます。 四年目に五百日、五年目に七百日を終了後、明王堂での堂入りとなります。 断食・断水・不眠・不臥で九日間。 一日三度、一回二時間ほどのおつとめ以外は、死者扱いの逆さ屏風のもとで十万回、陀羅尼を唱えます。 日に一度、午前二時に閼伽井に水を汲みに行きます。
 
六年目、再び一年間に百日、赤山禅院までの往復を加えた五十キロを歩きます。 この時点で八百日終了。 最後の七年目は、一年間に二百日、初めの百日間は一日八十四キロを巡る「京都大回り」の難行が待っています。 
 
一日目午前零時、山坊を出て通常コースの五十キロを巡り、小休憩後、赤山禅院へ下ります。 午前十時、赤山禅院を出発して薬師堂ー真如堂ー八坂神社ー清水寺にて昼食一時間ののち、午後は六波羅蜜寺ー因幡薬師ー五条天神ー神泉苑ー出世稲荷ー北野天満宮ー西方尼寺ー上御霊神社ー下鴨神社ー河合神社ー十八時頃、宿舎の御所の東近辺の寺院到着。 そして翌朝午前零時、一日目の逆コースをとり、赤山禅院より比叡山へ、山上の通常コースを巡り自坊へ。 
 
この行程が百日間続き、のちの百日間は通常の三十キロを歩き、千日を終え満行となります。

現在、千日回峰行に挑まれている釜堀師は、順調なら2017年9月に満行を迎えられます。

石屋のないしょ話でした・・・。