- 石屋のないしょ話
乳歯
皆さんは乳歯が抜けた時、どうしましたか? そのままゴミ箱に捨てた方は少ないことと想います。 屋根の上に投げたり、縁の下に投げ込んだりされたのではないでしょうか? 今月は、抜けた乳歯についてお話します。 歯を捨てずに投げるのは、立派な永久歯が生えそろうことを願うおまじないのようなものです。 地方によって、色々な投げ方があります。
もっとも多いのは、下歯を屋根の上に投げ、上歯を縁の下に投げるという方法です。 これは、下歯は上に向いて伸び、上歯は下に向いて伸びてほしいという願いを込めたものです。 逆に、上歯を屋根に投げ、下歯を土に埋める地方もあります。 他には、トイレの屋根に投げ入れる地方もあれば、「ねずみの歯に代えてくれ」と唱えたり歌ったりしながら投げる地方もあります。 これは、ねずみのような丈夫な歯を望むおまじないです。 「すずめの歯と代えてくれ」と唱える地方もあります。
じつは、ねずみの歯は、この風習の謎を解く鍵でもあります。 歯を投げた先である屋根も縁の下も、ねずみの通り道です。 屋根や縁の下に歯を投げるにも、ねずみの歯にあやかるためと考えられるのです。 このおまじないは、日本だけでなく、世界的に存在します。 中国や朝鮮半島にも同様の風習があり、ドイツには抜けた歯をねずみの穴に入れる風習がありました。 やはり、ねずみのような丈夫な歯を望んだのでしょう。 イギリスやアメリカでは、夜寝るときに枕の下に抜けた歯を入れておく風習があります。 すると、寝ている間に、妖精が枕元に現れて抜けた歯を預かるかわりに、コインを置いていくとされています。 国は違えど、我が子の歯を大切に思う親の気持ちは変わりませんね。
石屋のないしょ話でした・・・。