石屋のないしょ話

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桃の節句

三月三日は、皆さんご存知のひな祭りです。 ひな祭りについてはvol.67でお話しましたので、今月はひな祭りの別名「桃の節句」についてお話します。 

三月三日が近づくと、お花屋さんやスーパーの店頭に桃の蕾をつけた枝が並んでいるのを見かけますが、三月は桃の花の季節にはまだ早く、時に雪も降ることのある寒さです。 つまり、昔の暦と今の暦にズレがあるためで、昔のひな祭りは旧暦の三月、つまり現在の四月に行われていました。 ですから、昔の桃の節句のときは、ちゃんと桃の花が咲いていたのです。 でも、桃の花が咲く季節に行われるから「桃の節句」という別名がついたわけではありません。 

ひな祭りの起源は、古代中国の“みそぎ”にあるのですが、その中国では、桃は古くから魔を払う神聖な植物と考えられていました。 三月三日に摘んだ花びらをお酒につけた「桃花酒」を飲むjと、若さと健康を保てるという言い伝えもあります。 また、理想郷のことを「桃源郷」というのも、かつて桃が神木と考えられていたためです。 要するに、桃は非常におめでたい植物なのです。 日本でも「日本書紀」に、イザナギがヨモツシコメに追われた際、桃の実を投げて難を逃れたという記述があります。 こうしたことに加え、ひな祭りがちょうど桃の花の咲く時期に行われることもあって、しだいに桃は女の子を守ってくれる植物となったわけです。

石屋のないしょ話でした・・・。