石屋のないしょ話

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風呂敷

風呂敷は生活の知恵から生み出された大変便利なものです。 紙袋などと違い、風呂敷は四角い箱型のものも、丸い形のものも容易く包むことができますし、必要でない時には折りたたむと大変コンパクトになります。 その上、近頃問題になっている過剰包装もなくなるのです。 今月は風呂敷についてお話します。

近年、日常的には使うことが少なくなった風呂敷ですが、最近京都では風呂敷研究会というものをつくり、包み方も含めて再度風呂敷を普及させようと頑張っておられるグループがあります。 この研究会では、会合に出席する時の本や書類などは、必ず風呂敷に包んで持参するという約束ごとがあるそうです。 

そもそも風呂敷というのは、字のとおり風呂で使用したことに由来しているのです。 お風呂屋さんで脱いだ衣類を、今はかごやロッカーにいれますが、昔はそれぞれ自分の衣類を布で包んでおいたのです。 それで、他の人のものと間違わないように風呂敷に名前を入れるようになりました。 現代においても風呂敷に名前を入れるのは、その名残りなのです。 また、京都では風呂敷で包んだ品物を人様に渡す時、風呂敷をはずして渡すのがお作法ということになっています。 ところが、京都にはおため(おうつり)というお返しの習慣がありますので、こちらに風呂敷を預からなければそのおためを入れることができません。 そんな時、京都人は「すんまへん。ちょっと風呂敷貸しておくれやす」と言い、言われた方も「そうどすか。えらいすんまへんなあ」と言い、すぐに風呂敷を差し出してそこにおためをいれてもらいます。 京都には、こんな楽しいお付き合いの約束事があるのです。 風呂敷があれば、そこに花が咲くと言われています。 皆さんも今一度風呂敷を見直してみてはいかがでしょうか?

石屋のないしょ話でした・・・。