石屋のないしょ話

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冥加に悪い

最近、「もったいない」という言葉が見直されています。 今月は、京都で使われている「冥加に悪い」という言葉の意味についてお話します。

「もったいない」とちょっとニュアンスは違うのですが、「冥加」というのは神仏のご加護(助け)という意味です。 京都では「そんなことをしたら冥加に悪い」とか「冥加につきる」など、この「冥加」という言葉をよく使います。 「冥加に悪い」とは、物を粗末に扱ってはいけない、そんなことをすると神仏のご加護がうけられない、もっと倹約しなさいという意味で使われます。 主に、大人が子供に対して使う言葉だといえるでしょう。 

他府県の人からみれば、京都人のこういうところをケチくさいと思われるかもしれませんが、これはケチなのではなくその根底には例え紙一枚でもそのものが生きていると考えなさいということなのです。 不思議な縁で手に入れた品、そこに冥加という神仏のご加護や恵みがあって、はじめてその人の努力が実り、仕事や勉強ができるようになると考えたのです。 もし仮に、何かが壊れて捨てなければならなくなった時、その捨てる物に感謝の念を持って捨ててこそ、神仏のご加護がうけられるのです。 

この、自分が手にした品物に生命を吹きかけ、その物自体が喜びを感じるくらい大事にしなさいという考え方は、使い捨てが当たり前になるつつある今日だからこそ、今一度見直すべきなのではないでしょうか?

石屋のないしょ話でした・・・。