石屋のないしょ話

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楊箸

さて今月はお正月に使う「柳箸」がなぜ両方削ってあるかについてお話します。 

「柳箸」とは、お雑煮などをいただく時に使うお箸のことで、「両口箸」や「両細」とも呼ばれ、両端が削ってあります。 その為、どちらを使っても良いのですが、実際食べる時には片方しか使いません。 片方で食べて、もう片方は取り箸として使用すると思っている方も多いようですが、そのために両方削ってあるのではありません。 もともとお正月には、「年神様(お正月様)」という神様が遠い山の向こうからおみえになっており、その神様と共にお雑煮やお煮しめを食すると考えられていました。 お箸の一方を人間が使い、もう一方は神様が使われるのです。 神様と共に食事をすることによって、神様のご加護を受け、神様と喜びごとを共にしているという思いを表わすために、こんなお箸があるのです。  

このお箸は柳で作ったもので、折れにくく丈夫です。 それにこの木の木肌が白いところから、ものを清浄にし邪気を払うものと考えられてきました。 また、柳は春一番に芽を出す縁起の良い木でもあります。 

日本人の一生は箸に始まり箸に終わるとも言われていますが、そこには神や仏が必ず存在しているという思いがあるのではないでしょうか? 食事をする時の「いただきます」には、神仏ともいうべき大自然の恵みをいただくことに対してのお礼の意味が込められていますし、「ごちそうさま」には仏様に対する感謝の心が表わされているのですから・・・。

石屋のないしょ話でした・・・。