仏事Q&A

  • 仏事Q&A

禁欲とは、どういう意味ですか?

仏教の修業は、禁欲主義的であると思われている方が多いのではないでしょうか?

確かに、僧侶の資格を取るための修業は禁欲状態にあります。一般社会とは隔絶され、テレビや新聞も見ることはできません。俗世間の人や異性との会話も禁止です。

 

ところが、その修行を終えると後は自由です。引き続き禁欲主義でいくのか、俗人と同じような生活をするのかは自由に選択できるのです。

禁欲主義でいく場合、妻帯はできません。二百五十の戒律をできるだけ守る生活をすることになります。戒律の中には、異性と一対一で話をしてはならぬ、という戒もありますので、教えを説くときには注意が必要です。

一方、戒律に縛られることなく、俗人と同様の生活を選べば妻帯はできますし、お酒を飲むことも許されます。ただし、人に教えを説き、仏道に導くためならばです。己の欲望を満たすためではいけません。

しかし、実はこれは難しいものがあります。羽目を外しすぎてはいけませんし、俗にとらわれてもいけません。俗にあって俗に染まらずという強い心を持たねばならないのです。ですから、絶えず自分を客観視し、制御しなければならないのです。これこそが本当の修業なのです。

 

欲に迷うものの気持ちを知るためには、一度自分も欲に迷うことが必要でしょう。きれい事では話を聞いてもらえません。しかし、欲に迷っても、その欲にとらわれてはいけません。ここに俗か聖かの分かれ道があるのです。