仏事Q&A

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「極楽ごくらく」ってどこにあるのですか?

上方落語の「浮世根問」の中に、極楽のありかを問うくだりがあります。 物知りの御隠居に屁理屈な男が極楽はどこにあるか尋ねるのです。 御隠居は「地獄の近所だ」と答えます。 「じゃあ地獄はどこに?」と問われ「極楽の近所」と答えます。 そのうちに「西のほうに行けばあるか?」とか「西明石のほうか? もっとずっと西か・・・?」などと屁理屈をこね始めます。 

極楽といえば、阿弥陀如来の西方浄土が有名ですが、極楽はそれだけでなく他にもあります。 たとえば、東にはあしゅく如来の妙喜浄土、薬師如来の瑠璃浄土があり、すべてを包括する大日如来の密厳浄土があります。 また、この地球はお釈迦様の娑婆浄土でもあります。 「阿弥陀経」によると、西方浄土は十万億の仏国土を過ぎた彼方にあると説かれていますが、具体的に想像がつきません。 では、極楽はどこにあるのでしょうか?

冒頭でお話した落語に出てきた御隠居さん、実は間違ってはいないのです。 極楽は地獄の近所にあるのです。 しかも、その場所はごく近所です。 人に対し怒っている時の心、辛く当たっている時の心、それが地獄そのものでしょう。 人に対し優しくしてあげている時の心、他人の喜びを心から祝福している時の心、それが極楽なのです。 地獄も極楽もすべて自分自身の中にあるのであって、遠くにあるものではないのです。 「道歌どうか」に次のようにあります。 
 
「極楽は 西にもあらで東にも 北(来た)道探せ 南(みな身)にぞある」

地獄も極楽もすべて、己の中にあるのです。

ご参考までに・・・。