仏事Q&A

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なぜ仏壇を置くのですか?

仏壇とは仏様を安置するための壇で、本来はお寺のお堂にある須弥壇(しゅみだん)のことなのですが、現在では一般の家庭に設けられている箱型の厨子をさします。 お寺の仏壇を「須弥壇」とよぶのは、仏教の世界観から由来しています。 我々の住むこの世界の中心に須弥山(しゅみせん)という高い山があり、そのまわりに八重の海がめぐらされ、一番外側の海に東・西・南・北の四つの島が浮かんでいて、その一番南の島である閻浮堤洲が我々の住んでいる場所だということです。 この世界の中心であり神聖な場所だというので、仏様のおられる場所を須弥山になぞらえて「須弥壇」と呼んでいるのです。

お寺ではなく一般の人々の間に仏壇が置かれるようになった古い記録としては『日本書記』に天武天皇十四年(685年)に「諸国に家ごとに仏舎をつくりて、すなわち仏像および経を置いて礼拝せよ」と詔せられたことが記されています。 しかしこの「家」というのは、三位以上の位のある者か地方の豪族をさしていて、一般庶民ということではありません。

七色に光る玉虫の羽を埋め込んでつくったという、有名な法隆寺の「玉虫の厨子」や、光明皇后の母である橘夫人の厨子など、個人の念持仏を安置して礼拝していた古い仏壇が今日まで伝えられていますが、奈良から平安時代にかけては守護仏信仰と祖霊信仰、さらに密教の加持祈祷が盛んになってくるにつれて、有力な貴族や豪族の間には持仏堂や仏間を建立することが流行しました。 平泉の中尊寺の金色堂や宇治平等院の鳳凰堂などは藤原氏の持仏堂で、もっとも豪華なものです。

一般庶民が各家に仏壇をもつようになったのは、江戸時代になってからです。 江戸幕府の切支丹禁制政策による檀家制度・仏壇改めによって、各家に仏壇が設けられることになったわけです。 そしてその基盤には一家一門という考えによる祖霊信仰がありました。 現在の一般の家庭にある仏壇には、必ずといってよいほど御先祖のお位牌が祀られており、仏壇といえば亡くなった人を祀るところというふうに考えている人もあるほどです。 しかしそれは間違いで、「位牌壇」といわずに「仏壇」とよぶように、本来は仏様をお祀りし、仏様にお供え物などをお供えするための壇なのです。 仏壇の中にいらっしゃるご本尊のわきにお位牌を置くのは、仏様のお傍で仏様に守っていただくためです。

ご参考までに・・・。