石屋のないしょ話

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千羽鶴

皆さんは千羽鶴を折ったことがありますか? 今月は千羽鶴を折ると願いが叶ういわれについてお話します。

千羽鶴は何らかの願いをこめて、色紙で千羽の鶴を折るものです。 例えば病気の人が元気になるようにという願いを込めて折ったり、スポーツや競技などの必勝を祈願して折られることもあります。
 
この「千羽鶴を折ると願いが叶う」というのは、比較的新しい風習です。 鶴は古代から瑞鳥とされ、社寺に千羽鶴を奉納する習慣はありました。 ただし、願い事を叶えてくれる千羽鶴というのは、戦前の千人針から生まれたもののようです。
 
千人針は、日清戦争・日露戦争・太平洋戦争などで出征する兵士に贈られたお守りです。 腹巻型のさらしに赤い糸で一人一針ずつ縫っていき、千人分の針目を通したのち、白銅貨を結びつけました。 千人という多くの人の祈りを集めることで、弾丸よけとなり、無事に帰還することが期待されたのです。
 
この千人針の風習が、原爆を投下された広島で千羽鶴に変わります。 皆さんもご存知とは思いますが、二歳のときに被爆し、白血病に苦しむ少女が、高校生からお見舞いの折り鶴をもらいました。 これをきっかけに少女は鶴を折り始めます。 少女は千羽の鶴を目標に折り続け、多くの入院患者も折り始めました。 千羽の鶴を折ることによって、病気の回復を願ったのです。 千人針は、戦死の不安を多くの人の力によって拭い去ろうというものでしたが、千羽鶴は病気の不安を拭い去ろうとしたのです。 また、鶴が古くから長寿のシンボルとされてきたため、折り鶴に生命の象徴というイメージが生じたようです。
 
残念ながら、その少女は白血病で亡くなりましたが、少女の姿は広島平和記念公園にある原爆の子の像として残されています。
 
この話が有名になって、以降千羽鶴は病気が治ることを祈って贈られるものとなり、さらには願いを叶えるお守りにもなってきたのです。

 

石屋のないしょ話でした・・・。