石屋のないしょ話

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手刀

きっと皆さんが無意識に切っている「手刀」ですが、意味をご存知でしょうか? 今月は「手刀」についてお話します。  「手刀」は日本独特の習慣です。 西洋の場合、手刀を切ったりせず「エクスキューズ・ミー」と言いながら相手に微笑みかけて通りすぎます。 なぜ日本では手刀を切るかというと、相手のテリトリーと自分のテリトリーの堺を作るためといえます。 人間のみならず、動物にはみんなテリトリー意識があります。 テリトリー内に他者が侵入してくると、不快に思い警戒心を抱きます。 場合によっては相手に攻撃をしかけることもあるでしょう。 テリトリーの範囲は相手によって異なります。 親しい人なら相当近づかれても気になりませんが、見ず知らずの他人ならちょっと侵害されただけで緊張するものです。 

他人の前を通るのも、相手のテリトリーを侵す行為になるから、無用な軋轢を避けるには、相手の緊張を緩めるような行為をする必要があります。 それが西洋人の場合は笑顔であり、日本人は手刀なのです。 手刀を切ることで、相手のテリトリーの中に、一時的に自分のテリトリーを作らせてもらうのです。 もちろん、このとき作るテリトリーは相手のものより小さくなければならない。 そこで手刀を切るときは、小さく遠慮がちな動作になるし、背中を少し丸めて、できるだけ目立たないようにするのです。 

石屋のないしょ話でした・・・。