石屋のないしょ話

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四国遍路

最近のバスツアーで人気があるのは、四国のお遍路さんコースだそうです。 一度目はバスで行っても、二度目は自分の足で歩かれる方も多いとか・・・。 さて今月は、四国遍路についてお話します。 

四国のお遍路さんがかぶっている笠には、「同行二人」という文字が書かれています。 一人はお遍路さん自身で、もう一人は弘法大師空海です。 四国遍路とは、かつて弘法大師が修業した聖跡を巡る旅なのです。 その旅には常に弘法大師が同行しているという意味で「同行二人」という文字が書かれているのです。

お遍路さんは常に金剛杖という杖を持っています。 これは弘法大師の分身と考えられ、大師の霊力が備わっていると信じられています。 そのためお遍路さんは宿に着くと杖をきれいに拭いて部屋の上座に据え、合掌して一日の無事を感謝し、明日も無事に旅ができるように祈るのだそうです。 四国遍路では、昔から「お接待」と称して土地の人がお遍路さんを手厚くもてなす独特の習慣があります。 人々が率先してこのようなお接待をするのは、生きた弘法大師と共に旅をするお遍路さんに対する尊敬の念からだといわれています。

このようにお遍路さんやお接待をする土地の人が同行二人を信じて疑わないのは、弘法大師が今も生き続けて人々を救ってくれるという入定信仰によるものです。 そして無事に遍路の旅を終えた人が最後に「お礼参り」として参詣するのが、高野山奥の院です。 杉の老木に囲まれた廟の中には、今も弘法大師が瞑想しながら人々を見守ってくれています。 

ちなみに四国遍路では、うるう年に八十八番から逆に巡ると弘法大師に会えると信じられているそうです。 四国遍路の弘法大師は伝説から抜け出した身近な存在でもあります。 そして、そのように身近な弘法大師と共に行く四国遍路の旅には、限りない功徳があると考えられています。 遍路は単なる旅ではありません。 一歩一歩功徳を積んでいく旅なのです。 そしてその功徳は人生のどこかで思いがけない果報をもたらしてくれることでしょう。 その旅の一歩一歩は弘法大師が優しく導いてくれているのですから。 

石屋のないしょ話でした・・・。