石屋のないしょ話

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砂漠の防衛戦

先月は砂漠からやってくる黄砂についてお話しましたので、今月は砂漠の防衛線についてお話します。 地球上には砂漠を含む砂丘地が約13億ヘクタールもあって、生活の為に砂漠の周りの木を伐採するので砂漠の面積が年々拡大していると言われています。 そしてこの砂漠化進行は最近大きな社会問題となっています。

日本には砂漠はありませんが、海岸砂丘が発達している所が多く、その砂丘地にはたいてい美しいクロマツ林が見られます。 林は海から吹きつける厳しい風を弱めて飛砂の発生を抑え、風に乗って飛んでくる飛砂を捕捉し、風下側の土地の利用を可能にしています。 飛砂の固定は現在では構造物によってでも可能ですが、林の方が成長に伴って大きな効果を発揮するので、経済的・防災的・景観的効果を総合すると海岸林を育成する方が構造物よりも有利だといえます。 

砂丘上の砂粒が動き始める速度(限界速度)は砂粒の大きさ・比重・形・湿りぐあいによって変わります。 飛砂量は風速の三乗に比例して変わるので、飛砂量を少なくするにはまず風速を減少させることが重要です。 また、砂の飛ぶ高さは90%以上が高さ数10㎝以内の範囲に集中するので、少しの障害物や林木によってその移動が阻止されるのです。 クロマツ海岸林の防風効果の観測結果によると、砂丘の風土(海側)風速が15.0m/秒(観測高1.2m)の風は、林帯内に40~70m以上入ると2.0/秒以下に減少しました。 飛砂の限界風速は5~6m/秒ですから、15.0m/秒の風が吹いても林内では飛砂が全く発生せず、海側の砂丘で発生した飛砂が林縁から少し入った所で阻止されることがわかります。 風速の低下は、普通の気象状態では保護区域内の地面からの蒸発量を減少させ、土壌の乾燥を防ぎます。 この働きは乾燥地帯では特に顕著に現れ、これが砂漠地帯を緑に変える大きな役割として期待されているものなのです。

森林は飛砂や土壌の乾燥を抑える働きがあるので、砂漠地帯の砂丘移動抑制や環境の改善手段として期待されているわけですが、雨が多い日本の砂丘とは異なり、きわめて雨の少ない砂漠では森林を育てるのは容易でないことも知っておくことが重要ではないでしょうか?

石屋のないしょ話でした・・・。