仏事Q&A

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曹源一滴水(そうげんのいってきすい)とは、どういう意味ですか?

ある日、京都にある曹源寺というお寺の儀山和尚は、お風呂に入ると湯が熱かったため、風呂当番に水を汲みに行かせました。修行者は急いで、裏の井戸から汲み上げた水を手桶で何度も運びました。よい湯加減になり、和尚が「もうよろしい」と言ったところ、風呂当番は余っている水を捨てて、桶を伏せました。その途端、和尚は次のように𠮟りつけました。

 

「わずかな残り水だからと思って捨てたのであろうが、なぜ植木にかけてやらん。花にかけてやれば花の命になるじゃないか。水は天からの頂もの。空から落ちてくる一滴一滴の雨水のおかげで、すべての命が生かされているのがわからんか。」

一滴の水が大河になるさまは、たった一人の説法が師匠から弟子へ、弟子から弟子へ、やがて世界に伝わり人々を救済するさまと重なります。一滴だからと粗末にしないこと。その一滴の水が大海の源泉になるかもしれないのです。

 

水一滴、一人ひとりにはとてつもない可能性が秘められているのです。